第14回 全国首長連携交流会報告(概要)

↑2日目 全体会の様子
※左から木下博信(埼玉県草加市長)、久住時男(新潟県見附市長)
荻野正直(山梨県笛吹市長)、宮下裕(善通寺市長)、藤原忠彦(川上村長)
森民夫(長岡市長)、篠原孝(民主党衆議院議員)、田中栄治(地域交流センター)
平成21年5月22日(金)から23日(土)にかけて、政策研究大学院大学(港区六本木)において、第14回全国首長連携交流会が開催されました。
 
 
第14回全国首長連携交流会 大会アピール

 現下の時代は、100年に一度と評価される経済不況の中で、環境、雇用、健康・福祉、災害発生等多様な分野で社会不安が発生しており、セーフティネット形成が求められている。
 社会のセーフティネット形成の基本は、人・団体の支え合いの仕組みをつくることである。私たち全国の有志市町村長32人は、多数の政官民の人間と共に、ここ東京の政策研究大学院大学に集い、まちづくり、くにづくりの方向を論じ合った。以下、その要点をアピールとしてまとめる。

1.先進国の条件は多様化、個性化、分権化である。各自治体が自由なまちづくりの競争をすることが日本経済を再活性化する。道州制=地方分権ではない。県を廃止し、人モノ金のすべてを市町村にゆだね、生じる不都合を解決する制度を考えればよい。その結果が道州制であれば、我々は理解する。制度論ではなく本質論に戻るときである。

2.市町村の契約手法は地域経済を活性化しながらも透明かつ公平であれば良い。しかし、手法が目的化している。結果として首都圏大手企業の利益を増大させ地方経済や国を衰退させている。我々は、総合評価方式、随意契約等、国の定義や推奨に囚われることなく、本来あるべき形態を独自に創設し、より透明性を高めて、地域経済を活性化し、国が豊かになる取り組みを率先し進めていく。

3.社会全体にわたる支えあいの仕組み(セーフティコミュニティ)をつくるために、多様な行政分野の連携を図っていく必要がある。そのためには、多様な溜まり場(交流拠点)をつくり、ネットワークするような具体的なモデルづくりを進めていくべきである。その広域的なモデルづくりの一つとして、「かわまちづくり」事業は有望な手法であり、本会の有志市町村長の協力のもとに、全国に展開していく。

4.教育の分野においては、学校と地域の協力・連携体制づくりが基本的テーマである。地域住民の理解のためには徹底的な情報公開が重要であり、教員の理解のためには現場での実践による気づきが有効である。首長が教育行政に積極的に関与し、小中一貫教育という教育手段等を切り口にして、それぞれの地域で教育の目的についてとことん議論していくとともに、現場の実情に合わせた教育制度作りに向け、文部科学省メンバーと有志首長による意見交換の場を設けていく。

5.自治体の健康政策は総合政策である。まちづくりと一体となって取り組み、高齢者等の医療費がかかる層へ積極的にアプローチする政策を打ち出す必要がある。今後は予防型健康政策にシフトしなければならない。先進的な首長が連携しながら、新しい健康政策を実証し全国に普及するための「先進予防型健康社会を構築する首長会」を設立する。

6.儲かる農業が実現できれば担い手は育つ。中山間地域は日本の水と空気を守っている。地域の実情に応じた営農のあり方を探っていくと同時に、地域の発意による地域に根ざした農業を支援する農政を求める。また、新しい農業のかたちとして、福祉と連携した農業を推進したい。農業を通じて様々な主体と連携しながら障害者の自立支援などに取り組んでいく。これらのために本会全体で多分野にわたる関係者と連携して、先進的なモデルをつくり、全国的な連携を図る。

7.本会の前会長である森民夫長岡市長が全国市長会会長になることが確定している。先進的で本質的な本会の現場の生の声を市長会に届け、霞ヶ関の多分野に渡って、意見を反映していくように努めたい。このために、提言・実践首長会等を活用しながら、個別テーマに基づいた勉強会・研究会を充実させていく。

 なお、本会では十分な議論はしなかったが「北朝鮮による拉致問題は未だ解決しておらず、最大級のセーフティネットの課題である。全国首長連携交流会としても、この解決に向けて大いに意を払うと共に、支援していきたい」の項目も付記することとした。また、政局がゆれる中、「今後の状況を睨みながら、日本全体の地域政策、地方分権、セーフティコミュニティ形成等に向けて提言していくために、時期を見て(7月中旬頃)、日本の政党リーダーを招待しての公開討論会を試みたい」という項目も付記した。

平成21年5月27日
第14回全国首長連携交流会参加者代表 森 真(全国首長連携交流会長)